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071208 フェルメール「牛乳を注ぐ女」への道-6

なかなか忙しくてブログ更新も、ままになりません。(笑) ところで少し紹介順をミスっていたことに気がつきました。前回、前々回とヤン・ステーン作品を見てきました。残念ながらポストカードがなかったので、これまた有名な「家族」の紹介ができませんでした。ところでそれらは1663~1668年頃の作品でして、1650年頃のヘラルト・テル・ボルフ(1617-1681)の「農民の衣裳を身に着けた女」(リーフレットより)の紹介を忘れていました。

071208 フェルメール「牛乳を注ぐ女」への道-6_f0005116_23454377.jpgこの作品も2000年に愛知県美術館に来ており、その時は「農婦の衣裳を着けた少女」と訳されて紹介されました。モデルの少女はテル・ボルフの腹違いの妹(ヘシーナ/ヘジナ)で、農民の衣裳は結婚式など饗宴の際に着られたといいます。赤い紐で髪を纏めているのも、当時の娘の典型的な髪型なのだそうです。

ですから現代の日本的に置き換えて言えば、結婚式の時に髪を結って振りそで姿になった思い出に、一枚写真を撮っておくとでもいった記念日的な肖像画なのでしょう。農婦の衣裳とはいいますが、このブラウスの袖だけ見てもなかなか洒落た材質感があり、このあたり肖像画家としてのテル・ボルフの画力を証明しています。

もっている紙は手紙だという説と、饗宴の際に朗読した詩という説があるようですが、ここは風俗画として見る立場をとって、詩片という後者の説を押したいと思います。そういう意味も相まってなかなか価値ある作品だと思います。ただこうして小さな写真として載せてしまうと、少女の顔の表情が、あまり再現できていないのが残念です。(一見モミアゲみたいに見える垂れた髪も、よく見るとカールしていて、紅をさした赤い唇の表情もなかなか初々しいのですが)
by ttru_yama | 2008-02-09 00:03 | ギャラリー
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