こちらは前回と同じ文庫版のカバーなのですが、カバーが2重になっていて現在本屋さんに行くと、駿サンのポスターの絵のカバーで売られているので、ちょっと見には原作本なのか見分けがつきにいところです)
さて、ついでですから原作本とアニメの違いをみてみましょう。二人が出生をさぐる基本ストーリーは同じですが、もうひとつのクラブ部室(カルチェラタン)の存続に関する学校との闘争は、原作では制服の自由化闘争となっています。
ですから、あのカルチェラタンの魔窟はまさに、駿サンごのみの脚色から創造されたものなのです。まあ、制服自由化問題は当時の関心事であったことは間違いないのですが、映画的には魔窟の方がインパクトがあると考えたのでしょう。原作での舞台は港の近くの高台としか描かれていませんが、映画では今も洋風建築の残る1963年の横浜に設定しています。
ということで、かつての桜木町駅の雑踏やクイーンの搭(横浜税関)、氷川丸が画面に映し出されますが、肝心のコクリコ坂は「港の見える丘公園」付近が近いイメージですが、映画ではかなりつづら折りの急坂で、実際私も公園付近には行ってみましたが、きつい坂はあるものの、あのようなつづら坂は架空の坂のようです。
でも、このつづら折りの坂がないと、俊が海を自転車に乗せて駆け下る印象的なシーンは無かったことでしょう。あのシーンは「魔女の宅急便」で、トンボとキキが飛行自転車で坂を下るシーンとともに、ジブリ映画の名シーンとなることでしょう。
そうそうヒロインの名前は、原作では「小松崎海」となっていますが、映画では「松崎海」となっています。私的には「小松崎」の方がよりかわいく思えるのですが、駿サンは違ったのでしょうか。
また映画のコクリコ荘の住人は全て女ばかりですが、原作では男子学生の北斗さん(映画では女子学生)がいて、海の精神的な憧れの人として大きなウェイトを占めています。
またページがつきてしまいました。ではまた次回。