少し前の作品に戻りますが、「ティヴォリ、ヴィラ・デステ庭園」(1843)(美術展リーフレットより)です。コローは1825-28年の最初のイタリア旅行以来、1834年、そしてこの作品を描いた1943年と、生涯に3度イタリアを訪れます。ローマより20km東部にティヴォリ(チボリ)という王侯貴族の別荘があったところで、コローは庭園と噴水で有名なエステ荘でこの作品を描きました。
作品解説によればこの中央の欄干に腰掛ける少年は、『おそらくは構図に中心を与えるため、後からアトリエで描き加えられた。』 とあります。今まで掲載したコローの絵にも、風景と共に人物が登場していますが、コローに限らず特に風景画の場合、画家が絵の構成上必要としたとき、人物(または動物など)が画面上に画家の作為として採り入れられ、風景画としての絵に深みを与えていきます。
後の1863年、この作品を模写した女流印象派画家がいました。後にコローの教えも受けたベルト・モリゾ(1841-1895) は、この絵が描かれたときは、まだ生まれたばかりなのでした。
「モンフェルメイユ、森の小川」(1867頃) この作品は岡崎市美術博物館で12日まで開催中(2009.5.16-7.12)の「ピサロ」展の絵葉書ですが、コローは印象派の巨匠ピサロ(1830-1903)とも親交があり、影響を与えています。
同展覧会には他にも「ヴィル=ダヴレー近くのル・プティ・シャヴィル」(1823頃)等のコロー作品がみられます。