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080720 東京駅と「コロー 光と追憶の変奏曲」展-15

080720 東京駅と「コロー 光と追憶の変奏曲」展-15_f0005116_9255968.jpgコローの「ヴィル=ダヴレーのカバスュ邸」です。風景画には珍しい縦長の構図が、カバスュ邸への道のりや奥行き間を捉えています。ヴィル=ダヴレーの地はパリ郊外にある住宅地で、織物商の父は1817年にこの地に別荘を購入しています。
この「カバスュ邸」は、コロー家の別荘である「あずまや」から北に位置する場所にあり、絵は1835年から1840年の長期に渡って描かれました。実際のサイズは35×26.5cmの小品ながらも、道行く乗馬人が背景の瀟洒な館と相まって、穏やかなヴィル=ダヴレーでの様子を、実サイズ以上の拡がりをもって伝えています。

有名なコロー家の別荘の絵である「ヴィル=ダヴレーのあずまや」(1847年)は、残念ながら絵葉書が無かったので紹介できませんが、四本の糸杉に囲まれた円形の建物で、この絵にはコロー自身、そして家族も描かれています。絵は1847年の夏、母親の誕生日に向けて描かれたということで、庭で新聞を読む父、スケッチブックを持って帰宅するコロー、あずまやの前で迎える義兄のセヌゴン氏、その様子を背後の橋の上から眺める母と姉のオクタヴィ・セヌゴンが描かれています。このコロー家の幸せなひとときを描いた絵は、他の絵とともに別荘内に飾られたといいます。

コローはこの別荘にて、あますところなく「ヴィル=ダヴレー」の森や自然を描き続け、やがてそれが「モルトフォンテーヌの想い出」(1864年)に繋がってゆくのです。
by ttru_yama | 2009-06-14 10:31 | ギャラリー
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