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1211-1302 フェルメールの少女、12年越しの再会-7

ということで、「真珠の首飾りの少女」を観てきましたが、ことのついでにもうひとつチェックしたいことがあります。もうすでに、いろんな方がやって見えるとは思うのですが・・。
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・・と、ペタペタと並べましたが皆フェルメール作品でして、一番左は今回の「真珠の首飾りの少女」(1662-1665/ベルリン国立絵画館)の部分図です。そして何をチェックしたいかというと、少女の着る白地に斑点の襟が付いた黄金色のガウンの衣装です。

f0005116_23253535.jpgで、右隣の上段の絵は「手紙を描く女」(1666/ワシントン、ナショナル・ギャラリー)ですが、こちら同じガウンはもちろんのこと、さらにテーブルに黄色いリボンの付いた、真珠が置かれていることです。

そしてその右隣は手紙を書いてる途中で、女中が手紙を持って来たという、何やらいろんな出来事が錯綜しているような絵で「女と召使い」(1667-68/ニューヨーク、フリック・コレクション)です。この絵のガウンが一番光り輝いて見えますね。

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上段その右隣は、前に少し出てきた「リュートを調弦する女」(1664頃)です。


小さいのでこちらも拡大図をつけておきますが、この人も真珠と耳飾りをまとっていますね。こうなると耳飾りも、皆共通のものなんでしょうか。


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そしてもう一つ行っちゃいましょうか。左下段に移って今度はギターなのだそうですが「ギターを弾く女」(1670-75/ロンドン、ケンウッド・ハウス)です。

ここまで見てきただけでもこのガウン、長年にわたって絵に登場します。フェルメールお気に入りの衣装だったに違いありませんね。
そしてこの人も真珠をつけていますが、珍しく光線が右方向からあたっています。

・・と、年越しになりますが、今年はここまでにしときましょう。(来年につづく)
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by ttru_yama | 2012-12-31 09:00 | ギャラリー

1211-1302 フェルメールの少女、12年越しの再会-6

さて今回のベルリン国立美術館というものは、実際にはベルリンにある15の美術館・博物館の総称であることを初めて知ります。
サブタイトルが「学べるヨーロッパ美術の400年」ということで、15世紀から近代までの美術品が満載で、彫刻から絵画そして素描まで108点を観る事ができます。
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しかしそんな時間も知識もないので、ここではやはりフェルメールと同時代の、オランダ絵画に目がいきます。

ということで、ヤン・ステーンの「喧嘩するカードプレーヤー」(1664-1665/ベルリン国立絵画館)90×119CM、サイズも調度見頃の作品です。
まあ、場面はカード賭博のいさかいで、ナイフやサーベルが出てきてあまりおだやかではないのですが、宿の女主人や小間使いらしき小さな女の子が、サーベルを抜こうとする紳士を止めに入ってることで、修羅場の場面の緊張感を少し和らげています。
彼女らにとっては、おそらく日常茶飯事の喧嘩なのでしょう。

でも床下は散乱し犬も吠えて、ヤン・ステーンお得意のドタバタ感がでています。喧嘩する本人同士、仲裁する人、けしかける者、知らぬ振りでみまもる人。本当にステーンはこういった状況を画面にピタッとはめ込んでいることです。
そして、今回の絵はステーンによくある「絵の中にある寓意」をあまり考えなくて、ストレートに楽しめる嬉しい一枚でした。
f0005116_20205443.jpgさてヤン・ステーンを見た後は、お目当てのフェルメールの「真珠の首飾りの少女」(1662-1665/ベルリン国立絵画館)です。
前々回紹介した「天秤を持つ女」(1964頃)とほぼ同時期で、ポーズも似通っていますが、こちらは小鏡に向かって真珠のつけ心地を確かめているようです。

f0005116_2058059.jpg・・とそこで、観てきたはずが実は観てないというか、何せ小振ぶりの絵(55×45CM)なので、(いいわけなのですが)図録の解説を見て、「あっ、少女が手に持ってるのは真珠の首飾りではなく、首飾りに結ばれた黄色のリボンだったのか」、というのを知る事になります。(笑)
そのあたりはリーフレット写真の方がよく分かるので、それを部分拡大しました。

実はこの拡大図でも分かりにくいのですが、図録にある拡大図では真珠の粒々の少し上に、黄色い点々が真珠に並んで薄く描かれています。そしてそれが、真珠全体を金色がかったように見せています。そして金色の衣装とカーテンも黄色・・。それらはおそらくフェルメールが意図して描いたはずです。

そして鏡との間にぽっかり出来た白い壁の空間。ここには地図だとか絵だとかフェルメールにしては、アイテムがいっさい無く、真珠を纏ってそのリボンをもて遊ぶ、鏡に写った自分の姿に見入る少女の、弾む心の内面が伝わってくるようです。
また、この少女にも真珠と思われる「耳飾り」が、ついているのも注目ですね。(つづく)
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by ttru_yama | 2012-12-23 22:00 | ギャラリー

1211-1302 フェルメールの少女、12年越しの再会-5

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というわけで、広島行き夜行バスと朝の新幹線を乗り継いで、九州は太宰府天満宮(写真左下)にやってきました。(クリックで拡大)
その天満宮の近くの山の麓にお社のような建物があり、斜面にエスカレーター(中央部)があってさらにその奥には動く歩道、そして出口を出ると九州国立博物館(右上/2005年10月開館)があります。

さすが国立、なんと山にトンネルまで掘って・・、(まあトンネル通らずとも車でも行けるようですが)、山も立地場所も太宰府天満宮の所有地だそうです。

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そしてこれが九州国立博物館の外観ですが、とにかく巨大な建物です。そしてここまで来たわけは、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」(1665-66)ならぬ、「真珠の首飾りの少女」(1662-1665)を、(話の流れで)観に来たわけです。(右上切り出しは館内3F会場入口の様子)

f0005116_13431086.jpgそういうわけで、これが国立西洋美術館で開催された、「ベルリン国立美術館展」東京展(2012.6.13-9.17)に引き続いて、この九州国立博物館で開催された福岡展(2012.10.9-12.2)のリーフレットです。

もちろんこちらの目玉もフェルメールの、「真珠の首飾りの少女」(Young Lady with a Pearl Necklace)です。ところで不覚にもこの絵の来日を全く知らずにおり、「耳飾りの少女」のブログ記事のためネット検索していて、「初来日」という記事を知ったのでした。その時もまだ「耳飾りの少女が「初来日」ってどういうこと?!」って、思ってたぐらいなのですが・・。(笑)

そして会期があと2週間弱と知って、ラスト8日前、なんとかここに辿り着いたのでした。どうでしょうか、前回の「天秤を持つ女」(1964頃)と立ち位置が同じ構図です。(まあフェルメールの絵としては当たり前かも知れませんが)。そして「耳飾りの少女」の記事の流れ上で、この絵にも出会えたことは嬉しい限りです。
(つづく)
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by ttru_yama | 2012-12-15 15:00 | ギャラリー

1211-1302 フェルメールの少女、12年越しの再会-4

f0005116_1223212.jpgまた2000年の大阪市立美術館に戻りますが、「聖プラクセディス」に続いては「リュートを調弦する女(窓辺でリュートを弾く女)」(1664頃)があったように思います。

左窓からの光と壁の地図や楽器など、お定まりのフェルメールのアイテム揃いの絵ですが、ここで初めて見た時も(今も)、どうもモデルの髪の毛の上部が薄くポヤポヤの髪に思えて、気になってしょうがない作品です。(笑)
f0005116_1585975.jpg作品にケチをつけるなどおこがましい限りですが、絵の保存状態が悪いという話もあるので、影みたいなあのポヤポヤ髪の部分は、フェルメールの意図する所ではなかったのではと拡大解釈し、頭髪上部の影をポヤポヤの様に見えない程度、消してみました。(左画像)

どうでしょうかね。もしかしたらこんな絵だったのかも・・。フェルメールの感想を聞いてみたいところです。


f0005116_2323368.jpgで、続いて隣の部屋に移ると、入口最初のコーナーに「天秤を持つ女」(1964頃)が置かれていました。

明らかに彼女は身ごもっていて(これには慎重論もあるようですが)、手に持つ天秤と机上の宝石や金貨、そして背後の「最後の審判」の絵には、何らかの寓意が込められているようです。

(私には)それが何なのかまではわかりませんが、最後の審判のように地獄か天国か、というすさまじいものでもないけれど、彼女にはこの先、大きな決断がせまられているようです。(という所をフェルメールは描こうとしたのだと思います)

でも、天秤に(あえて)何も載せていないことや、彼女のおだやかな表情、慎ましやかな頭巾からしても、彼女はどんな運命をも全て受け入れる様に思えます。こんな感じで窓際に立っている女の絵は他にもあり、手紙を読んだりもしていますが、次回はそんな類似の構図の作品のひとつを、見てみたいと思います。
(つづく)
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by ttru_yama | 2012-12-09 10:00 | ギャラリー

1211-1302 フェルメールの少女、12年越しの再会-3

f0005116_1182950.jpg探してみたら12年前、2000年6月の「フェルメールとその時代」展(大阪市立美術館)の映像がありました。といっても正面入口の看板だけで、今回の神戸のように館内の様子が多少なりとも、撮影できるというのは有難いことです。

かなり薄い記憶と図録の流れでみると、この時の展示はフェルメールの生まれたデルフトの町の眺望や、「1654年10月12日 月曜日のデルフト火薬庫爆発事故」(ファン・デル・プール)の絵を見、フェルメールが洗礼を受けた新教会、またフェルメールの墓がある旧教会の絵があった後、フェルメールコーナーがあったようです。

そこには、まず「聖プラクセディス(聖女プラクセデス)」(1655頃)があったように思いますが、プラクセディスが斬首された殉教者の血をスポンジに含ませ、それを絞って水差しに移している絵でした。フェルメールには他に、宗教画「マリアとマルタの家のキリスト」(1655頃)や神話「ディアナとニンフたち」(1653-54頃)というジャンルの絵もありますが、フェルメールの作と鑑定されたとはいえ、素人目には信じがたいタッチの絵でしたね。

f0005116_2352350.jpgそういえば、この中の「ディアナとニンフたち」は、神戸展の中に登場しています。
実は(自分の中でも世間評でも)何を持ってフェルメールタッチと言うのだろうか、という悩みと疑問があるのですが、まあ自分的には「室内に左窓から光が差し込み、時にはハッと息を呑む瞬間等も包括した構図の絵」を持って、おおまかなフェルメールタッチという枠にあてています。

それらの絵に登場するモデル達や調度類、構図のタッチと比較すると、この「ディアナとニンフたち」は、フェルメールタッチでは無くなってしまうのですが、明るくおだやかで事件が何も起こりそうもにも無い、この絵のタッチは好きです。
おそらく(発見されている)全作品の中で一番緊張感なく、すんなりと受け入れ、ゆったり見る事の出来る絵ではないでしょうか。

もちろん侍女のニンフが足を洗う構図や周囲のニンフ達、またそれを見る犬の様子、全体の色調などがそうさせるのでしょうが・・。

鑑定結果より、この絵はフェルメール作のお墨付きが出たようですが、「やりて婆」(1656)みたいな作品もある中で、「こういう絵の描けるフェルメール」という意味でも、ファンにはうれしい作品でした。
(続きそうだなぁ・・)
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by ttru_yama | 2012-12-02 11:00 | ギャラリー