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080913 グーグーだって猫である-大島弓子の世界-8

さて大島サンのいる吉祥寺の風景シリーズは終わったわけなのですが、実はまだ何か書こうと思って書き足りていない、もやもやとした心の底にうごめく物があるのです。それを吐きだす機会はもう今しかないと思っていても、それでいてそれをどう纏め、どう書きあらわしていけば良いのか、その道筋が見えていないのです。(何が書きたいかというと「BS漫画夜話」みたいな、あーでもない、こーでもないと言いながら漫画の魅力に迫るものです)とはいえ全ての作品が好きかというと、そうでもない中途半端なファンでもあります。

f0005116_9201692.jpgしかしそれには制約もたくさんあります。一つは全ての作品を読んでる訳でも無く、読んだけれどもすっかり内容を忘れて、手持ちのコミックスにも掲載されてない作品もあります。
もう一つは画像を紹介する制限があることです。著者と発行元に著作権のある漫画の事ですから、そのシーンを掲載して説明したいのは山々ですが、まあ単行本の表紙ページぐらいはお許し願うとして、内容まで許可を取って掲載するのはなかなか難しい事です。
一ファンがそれをなし遂げてしまった本が、写真の「大島弓子 マンガの魅力」(一柳芳栄・斉藤裕美子著/清山社)なのですが、本当に頭が下がります。(この表紙の絵は「綿の国星」です)

と言っていても、なかなか進みませんから、中途半端は覚悟の上で始めてしまいましょう。まずは映画のシーンで言い忘れた事です。映画の中で大島サン他アシスタントが、疑似老人体験のために手足に重りを付け、視界矯正眼鏡をして町をさまよう場面がありましたが、これはもちろん作品「8月に生まれる子供」を描くための疑似体験(その成果が作品中にいかんなく出てきます)ですね。

「8月に生まれる子供」」(1994/07)は主人公、大学生の種山びわ子が、わずかふた月程の間に猛スピードで老化し、ボケから始まり母親より年老いた体となり、あげくのはて徘徊する老人になって行く物語ですが、大島サンは本当ならこの悲壮感ただよう話を、時にはコミカルにあまり深刻にさせず、新しい命への生まれ変わりとなるかのように表現していきます。この現実と実際にはあまり遭遇しない非現実的世界とを行き来しながら、何らかの安らかなラストシーンへ導くのが、中期から主流となる大島作品の基本構造です。この作品で好きなセリフは、老女の姿になったびわ子が玄関先で母に言う言葉、「いっとくけどデートだからついてこないで」ですね。

f0005116_1101447.jpg紹介出来る範囲で順番に作品を遡って見ましょう。(作品年代はこちらのページを参考にしました)
「サバシリーズ」(写真/白泉社文庫)は「月の大通り」(1988/10)から始まり、サバの天国と地獄」(1992/08)まで6年に渡る長編のエッセイ漫画です。大島サンの愛猫「サバ」との出会いから、その交遊を通しての大島サンの日常生活(本人が言うには赤裸々な?!猫との同棲生活)や人生観が綴られているので、ファン必見の漫画です。

ところでサバは雌猫なのですが、なぜかナルシストで哲学的なニヒルな雄猫(来た頃はかわいい雌猫の絵柄だった)のように描かれています。このあたりがグーグーとは全く違います。シリーズ前半の見所は「わたしの屋根に雪つもりつ」(1990/02)です。大島サンはいろんな詩を読んでいるようで、タイトルは中原中也の「生ひ立ちの歌」に出てくるフレーズ「私の上に降る雪は」にヒントを得たように思います。

「わたしの屋根に雪つもりつ」ではサバの「蚤取り」をした事から、大島サンは蚤の老婆「ばさま」に呪いをかけられたりします。またここでは「禁じられた遊び」(1971/08)のミッシェルとポーレットにも再会できます。ということで1回で終わらす予定でしたが、これを機に作品を見直したいのでもう少しかかりそうです。
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by ttru_yama | 2008-10-26 12:37 | 大島弓子

080913 グーグーだって猫である-大島弓子の世界-7

f0005116_22191625.jpg動物園のある自然文化園(本園)から分園の方へ戻り、弁天橋を歩いて行きますと右手に弁財天の建物がみえて来ます。この建物は映画の中では麻子がネームを作ったり、子供達から頼まれて猫のサバを引き取った場所に使われた所だと思います。漫画グーグーシリーズ2のお正月シーンでは「弁天様に初詣して」という大島サンのセリフが出てきます。


f0005116_22313830.jpgそしてまた噴水が現われました。「大島弓子の世界-6」の七井橋の所で、夜中に麻子がグーグーを捜して橋を歩いて行くと、次々に噴水が吹き出すという、映画の中の幻想的なシーンの話を書きましたが、実際はこの弁天橋のシーンのようです。というのは映画ではこの弁天橋を渡りきった向うに、サバと遭遇する「ペパカフェ」があるからです。


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ペパカフェ フォレスト(PEPACAFE' forest)はアジアン系のカフェレストランで、ラーメンなど普通の日本食メニューもあるエスニック料理の店です。オープンな店構えで、店外とを仕切る窓がなくコテージの軒先感覚的な店構えです。店内は東南アジア系のお客さんも多く、この店の異国情緒はどこの国に由来するものだろうかと思い、レジで聞くと不思議な文字で書いた張り紙がしてありました。それはタイ語で、「アルバイト募集中」なんですよ、と言われました。ということで確かにそれらしいエキゾチックなメニューもあります。飲み物は普通にコーヒーやコーラなんかも有りますが、ドリンク系の値段はちょっと高めですね。

f0005116_2364934.jpgさて、この店は映画の中では、麻子が亡くなった飼い猫サバに会うシーンが撮影された場所です。店の奥の方にあるライオンの絵は映画でも背景に登場しました。大島サンの漫画同様に、人間の姿になった猫のサバを演じたのは「SAYURI」にも出演していた大後寿々花さんです。ライオンの絵の左手奥のテーブルが再会の場所でした。そしてこの店にも「グーグーは猫である」のポスターが貼ってありました。窓の外を見ると、外から店の写真を撮る人が多くいます。たぶんグーグーの映画を見たファンのようです。
(と、井の頭シリーズはこれで終りですが、ちょっと中途半端な感じですね。次回もう1回いきましょうか。)
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by ttru_yama | 2008-10-18 09:00 | 大島弓子

080913 グーグーだって猫である-大島弓子の世界-6

f0005116_22462952.jpgさて井の頭公園の七井橋です。ここだったか橋のシーンで印象的なのは夜、大島サンこと麻子が猫を捜して橋を渡るシーンです。人気も無い暗い公園。橋の中央付近に麻子がやってきます。するとどうでしょう。麻子が進むにつれて・・

f0005116_2312266.jpg停止していた公園の噴水が、次々と水を吹き上げるのです。さながら何か事件が始まりそうな幻想的なシーンでした。その事件とは亡くなった最初の飼い猫のサバと再会する事なのですが、その話は後にしておきましょう。
橋の向うの建物はボート乗場です。橋右方向の森は井の頭自然文化園(分園)で水生物や野鳥等が見られます。井の頭自然文化園は有料ですので、ただ公園を散歩する人は、ボート乗場の向うにある狛江橋を渡り通り抜け対岸へ出ることが出来ます。

f0005116_8434912.jpg野鳥のいる分園と、動物園のある本園の位置関係は図の通りです。私は七井橋を渡らず野口雨情の碑や御茶の水の湧水地を見ながら池の北の道を歩きました。そうこうしているうちに16時近くになってしまいました。
自然文化園の最終入門時間は閉園1時間前の16時なのです。急いで吉祥寺通りの歩道橋を渡り、動物園のある本園(400)のゲートに滑り込みました。もちろんゾウのはな子(大島サンはハナコさんと呼ぶ)に会うためで、まっしぐらにゾウ舎に向かいます。でもすでにハナコさんの姿は広場にいなかったのでした。(ここまで来ながら!!)

f0005116_14474762.jpg幸いハナコさんはゾウ舎で食事をしていたのですが、太いオリの陰になって、写真写りがよくありませんのでパネルの方をまず見ていただきます。
ハナコさん(推定2歳半)がタイから日本に来たのは、戦後の昭和24年のことでした。都内各地を移動し井の頭自然園に定住することになったのは昭和29年からです。一時は人身事故を起こし危険なゾウと騒がれたこともありましたが、歯の抜けた現在も飼育員の特別食を食べて元気な姿を見せています。

f0005116_15204748.jpg係員といえば映画「グーグーだって猫である」にも、ゾウの飼育係の人が登場し、タイ語でハナコさんに話しかける場面がありました。大島サンの漫画サバシリーズには「アンブラッセ」以来、セーラー服姿で三つ編みの巨漢な女子高生姿で登場しますが、ハナコさんはいつ行ってもふりむいてくれないと書いています。

その後の「わたしの屋根に雪つもりつ」で初めてふりむきますが、その眼は人間の方を見てないとあったり、「大きな耳と長いしっぽ」では、圧倒的な存在感のハナコさんから、『(何もしてないように見えるけど)わたしは! はたらいている! こうしているだけでも わたしはかせぐの』と、どアップで大島サンは説経されてしまいます。おそらくハナコさんは無心な表情をしてるだけだと思いますが、こうした動物との心理的描写が描けるのも、「綿の国星」で培った大島ワールドのなせるワザなのでしょう。

f0005116_15564135.jpgさてこちらがゾウ舎の中のハナコさんです。(ほとんど見向きもされませんでしたが、この時初めてオリの外側に鼻を出しました) 現在61歳で日本にいる象の中では飼育年数が最長です。ゾウ舎の傍らには東京消防庁から、防火の予防広報に協力したということで感謝状が掲げられていました。ハナコさんの観覧終了時間の16:30がせまっていましたが、熱心な はな子ファンの人が最後まで見まもっていたことです。(井の頭シリーズ次回ラストです)
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by ttru_yama | 2008-10-12 16:20 | 大島弓子

080913 グーグーだって猫である-大島弓子の世界-5

f0005116_21515526.jpg井の頭公園入り口付近、ある店のたたずまいに、「あれっ?!」と思いました。映画の中でこの店は打ち上げか何かで、大島サンこと麻子他アシスタント森三中の面々が、焼きとりを囲み、おおいに盛り上がっていた場所ではないですか。その名は「いせや公園店」。焼きとり、ツクネ、タン、ネギ何でも80円の安さです。日曜日の15:45分、それでもお店は満席で席待ちのグループもチラホラです。


f0005116_2221462.jpg いえ、それだけではありません。買い物主婦が店頭で焼いてる傍から買っていく、サトウのメンチに引けを取らない活気良さです。(吉祥寺、恐るべし!!) 大島サンの漫画に焼きとり屋さんは出て来ないのですが、座敷に座っての打ち上げパーティなんか実際アリなんでしょうか。いちおう映画ではのれんをくぐった左側の座敷が映っていましたね。


f0005116_2251864.jpgいせやさんから公園の入り口(○印)にやってきました。写真が井の頭公園の全体像ですが、正式には宮内省から下賜されたので井の頭恩賜公園(大正6年開園)といいます。
公園内には井の頭池がありボート遊びも出来ますが、この池は湧水で井の頭とは「上水道の水源」、「このうえなくうまい水を出す井戸」の二説からきています。またかつて七つの湧水口があったので七井の池とも呼ばれ、池の中央部にかかる橋は七井橋という名がついています。(大島サンもサバシリーズ「サバの夏が来た」、「大きな耳と長いしっぽ」で「七井の池」と書いています)
公園敷地はほとんど武蔵野市ですが、敷地の右上部(西園)は三鷹市に属し、テニスコートや三鷹の森ジブリ美術館があります。漫画にも映画にも登場する象の「ハナコさん」は、右下部の井の頭自然文化園(本園)の動物園にいます。

f0005116_9533872.jpg池の周囲には桜の木が350本ほど植えられ、大勢の花見客で賑わいますが、漫画サバシリーズ「すばらしき昼食」にも描かれています。その日はサバの避妊手術があった日で、公園にはなぜか奇跡的に人が途絶えていて、大島サンは桜の花吹雪の中をサバへの罪の意識にかられながら歩いたのでした。
公園内にはソロ(カバノキ科落葉高木、別名アカシデ)、クヌギ、ナラ他の雑木林が拡がり、武蔵野の面影を残しています。また水源であったことから、縄文時代の「井の頭池遺跡群」が地下に眠っており、サバシリーズ「サバの秋の夜長」「すばらしき昼食」にも、大島サンのマンションから見た古代土器の採掘風景や、御殿山の石器の話が出てきます。(もう少し続きます)
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by ttru_yama | 2008-10-05 11:56 | 大島弓子