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071208 フェルメール「牛乳を注ぐ女」への道-4

さて絵の方ですが、地味な台所の様子やそこで働くメイド達を描いた作品が続きます。今回の展示では、諷刺画で有名なヤン・ステーン(1626-1679)の作品が6点も見られます。そういうヤン・ステーン作品の中でもいたって真面目作品が、最初に出てくる「金物を磨く女」(1658-1660頃)でしょう。
メイドが台所の樽桶で銀の水差しを磨く絵ですが、図録の解説によればいろいろ寓意を指摘してはいるとの事ですが、私には特に諷刺も寓意も感じられませんでした。ただ腕まくりしたうえ、胸元を少しはだいて、何か思い出し笑いをするかのような女の表情には、何らか画家の含みが込められているようです。

f0005116_1254318.jpgこの絵はハブリエル・メツー(1629-1667)の「猫の朝食」(パンフレット写真より)で、この作品を見るのは2回目となります。メツーは、作品にあまり寓意的な要素を入れない画家のように思いますが、この作品は何か意味ありげで不思議です。
メイドが雄鳥を調理する片手間に、猫にニシンのしっぽをつまんでやっている構図なのですが、メイドの視線は猫には注がれてなく、焦点が定まっていません。サイドテーブルに置かれた花瓶の花も、台所という場所には似つかわしくなく、一つ散った花も何かメイドの心情を代弁してるかの様に見えます。雄鳥は日々の現実で、彼女の心は想像の世界に浮遊している様です。それを邪魔して現実に引き戻そうとする役割が猫なのでしょうか。

f0005116_224384.jpg冒頭にも出てきた、ヤン・ステーンの「酔っぱらった男と女」(1663-65頃)は、文句なく寓意と諷刺の固まりです。どうしようもなく酩酊した男女が酔いつぶれている最中、壁にかけた男のマントを剥ぎ取ろうとする女がいます。
そしてその一部始終を猫が見上げています。足を台に乗せ大胆なポーズで仰向けに眠る女。真っ赤な顔でグラスを掲げる酔った男の表情。ヤン・ステーンならではの風刺の効いた一枚です。
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by ttru_yama | 2007-12-30 00:55 | ギャラリー

071208 フェルメール「牛乳を注ぐ女」への道-3

f0005116_21135923.jpgさて、国立新美術館に戻ってみると、すでにチケット売り場の前には人が並んでいました。ただ確かに人は多いのですが、今回の感想として多いながらも、これ以上の混みようを経験している私にとっては、「ムチャ混み」のレベルではなかったようです。

今回の展覧会のタイトルは、『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』で、もちろんフェルメールは有名ですが、今回フェルメール作品1点に依存したような一面があり、逆にファン層が限られてしまったのかもしれません。そういう意味では、巨匠の作品を並べたてた美術展の方がより混む様に思えるのかもしれません。でも2000年(4/4~7/2)の『フェルメールとその時代展』(大阪市立美術館)の混みようは異常でしたが。


f0005116_21175257.jpgなどと書きましたが、フェルメール人気はもちろん高く、10時過ぎの入場時から作品前には人が滞り、前列はほとんど動かない状態でした。言い忘れましたが、それにしても国立新美術館の建物のデザインとサイズの偉容には圧倒されます。このキャパシティ(写真は外観の一部)の中で日展も開催され、まだまだ余裕で他の展示も行われています。もちろんこの建物は展示だけ行っているのではなく、国内外の展覧会に関する図録,記録等の情報センターという役割を担っていくわけです。


f0005116_221350.jpg図録にも書かれていましたが、会場入口の案内記事には「牛乳を注ぐ女」が「台所の使用人」という題名でも紹介されていました。絵画はその時々でいろんな題名がつけられますが、この「台所の使用人」という題名は初めて聞いたことです。そのほか17、8世紀の競売時には「牛乳を注ぐ使用人」、「牛乳を注ぐ娘」と呼ばれた事もあったようです。

さて展示のほうは「黄金時代」の風俗画から始まります。1568年から1648年までの、宗教戦争の側面を持つ80年戦争を経て、オランダはスペインから独立をはたし共和国となります。戦争のさなか1602年に東インド会社が設立され、ライバルであるイギリス、ポルトガルとのアジア交易に打ち勝ったオランダは、世界に冠たる貿易国となります。そして17世紀のオランダ絵画は、この豊かになった市民の購買力の下に発展していくわけです。
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by ttru_yama | 2007-12-24 22:42 | ギャラリー

071215 マリと子犬の物語

f0005116_9573160.jpgしばらく映画も観ていなかったので、12月8日より公開の映画「マリと子犬の物語」を観てきました。いろいろ映画もある中で、テレビCMで流れる小犬のかわいさに惹かれて選んだ映画でした。
2004.10.23.17:56に発生した、新潟県中越地震の時の実話をもとに製作された映画で、3匹の小犬の母犬マリと、被災して山古志村を離れた一家が、村に残したマリを気づかう愛の物語です。

観ている最中も、そして観終わって大感動したものの、実際悲惨な地震を体験した山古志村の人達の事を思うと、手放しでは感動もしていられなかったというのが最初の感想でした。映画の最後に山古志村の協力のもとに撮影とか、これからの復興を願いますとかの字幕がちょっと出ましたが、これは本当は、映画の最初に持って来て欲しかったことです。そしてホームページのプロダクションノートを見て、本当に全村あげてのロケで撮られた事を知って、やっと安心して物語を振り返ることが出来たのでした。

映画の冒頭は被災前を想定した山古志村の(こんなにきれいに復興しているとも思えないので、もしかしたら一部は付近の村の)、きれいな棚田風景や、無形文化財に指定されている闘牛シーンでスタートしますが、上記の説明があれば心おきなくこれを鑑賞できたことでしょう。感動シーンはいっぱいありますが、まずはダンボール箱に捨てられた小犬のマリを、飼いたいと願うけれど許されないと思い、彩と亮太の兄妹があきらめて置いてくるシーンです。兄妹の後をけなげに追いかけるマリ。二人が振り向くと距離を置いて何度も止まるマリ。やっと振り切ったと思ったら、近道で先回りするマリ。マリの産んだ3匹の子犬が生まれた時もそうでしたが、会場からは「かわいい!!]の声があちこちから聞かれました。

そしてあの悲惨な地震が、家に残っていた彩と祖父優造を襲います。もしこれが自分にふりかかっていたらと思うと恐ろしくなるようなシーンです。つぶれた屋根の下敷きになった二人を、マリが懸命に掘り出そうとします。マリのお陰で救助隊に発見され、全村が避難する救助ヘリコプターに兄妹は乗せられますが、マリと三匹の小犬は乗せては行けません。ヘリコプターを追いかけてどこまでも走るマリ。その姿を空から見まもるしかない彩と亮太。二人の演技にも注目です。マリと兄妹にはこの先どんなドラマが待っているのでしょうか。(というわけで後は劇場で・・)

しかしこの映画は単なる動物と人間のドラマだけにとどまらず、村の合併問題、道路が破壊され避難所で暮らす村民の心の葛藤、そして村人同志互いを思いやる精神が、ところどころに挟まれて、被災した山古志の人達にも目線をあわせています。自衛隊もロケに全面協力し、映画にリアリティをそえています。その救助隊員との心の交流も描かれ、物語は感動のラストへと進んでいきます。最後に避難所の建物が空から映し出されますが、被災された方々へ心からの復興を願わずにはいられません・・。
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by ttru_yama | 2007-12-16 11:17 | 本・映画・ドラマ

071208 フェルメール「牛乳を注ぐ女」への道-2

f0005116_22341428.jpgさて、勇んで来たもののまだ8時です。これは今年2007年3月にオープンしたおとなりの、東京ミッドタウン(地図左上)に行くしかないでしょう。実は行って知ったのですが、ここにはサントリー美術館も引っ越していたのでした。
赤いところが国立新美術館で、最初に着いた西門は下部にあり、9時半まではゲートが開かないので、上方向の正門へ行くには一般道で、建物を半時計回りに回り込みます。回らず進むと六本木ヒルズで森美術館があり、この三つの美術館を「六本木アート・トライアングル」と呼ぶようです。

f0005116_2372735.jpg国立新美術館正面近くにいくと、一番高いミッドタウンタワー(248.1m)とミッドタウンイーストが見えてきます。ここからは5分ほどで東京ミッドタウンに歩いていけます。オープンした頃にレストラン等の紹介をして、すごい賑やかな場所の様に見えましたが、この時間帯はまだひっそりとしています。というのもほとんどの商業施設のオープンが11時以降なので、ビル内への通路が10時まで閉まっているので、やってる施設といえば24時間スーパーのプレッセ・プレミアムか、スターバックスのようなカフェぐらいなのです。

f0005116_23304897.jpgサントリー美術館(10;00オープン)はガレリアというビルの3階に有り、「鳥獣戯画がやってきた」展をやっていましたが、ちなみにこの時間に入口までいくには、ちょっと不便でしたね。ちなみに名古屋のJRセントラルタワーズは245mで、高さはちょっと低いのですが、ミッドタウンタワーには無い展望台がありますね。
結局、ミッドタウンはぐるっと見渡しただけで、国立新美術館まで戻りました。(次回は正面玄関からかな?!)
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by ttru_yama | 2007-12-12 23:03 | ギャラリー

071208 フェルメール「牛乳を注ぐ女」への道-1

f0005116_23543432.jpg(関宿の続きはまた後日とします。)さて会期終了が近づき、絵が日本初公開ということで、ずうっーと気になっていた『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』(2007.09.26-12.17)に、とんぼがえりで行って来ました。

まず写真はJR信濃町駅方向から見た外苑東通りの様子で、銀杏の黄葉も終盤でかなりの落葉がはじまっていました。銀杏並木の右手は明治神宮外苑で、並木左手に明治記念館なるものがありますが、名前に騙されて資料館か何かだろうかと思ったら、早い話、明治神宮の結婚式場なのでした。(笑)

f0005116_8283654.jpg赤坂御所を過ぎ、青山通りを横切ると青山霊園です。ここは都立の墓地ですが、 大久保利通や吉田茂、乃木希典、国木田独歩、志賀直哉など著名人や、忠犬ハチ公までが眠っています。詳しくはこちらの方のページをどうぞ。
でも今は「そんなの関係ない!!」(©小島よしお)と、いうことで先を急ぎます。(笑)しかし実際に探すとなると広大な敷地ですので、半日ぐらいは時間がいることでしょう。

f0005116_8524885.jpg墓地を過ぎるとフェルメールのポスターが迎えてくれました。(こちらは西門) 実はここまで延々と歩いて来ましたが、近くには地下鉄の乃木坂駅があります。ところでここで問題発生。まあ事前にわかってはいたのですが、開館は10:00なので中には入れません。
期間中入館者数が40万人達成(12/6)の超人気イベントなので、繰り上げオープンみたいなものを期待したのですが、いたって普通で、入場9:30、券売10:00というのです。まあチケットは9:45になりましたけど。(それじゃあ、早朝の空いた時間を狙って来た意味がナカッタ!?)

f0005116_16571924.jpgということでその間に、この聞き慣れない「国立新美術館」なるものを、おさらいしたいと思います。『国立新美術館は、コレクションを持たず、国内最大級の展示スペースを活かして多彩な展覧会を開催。また、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供を行い、アートセンターとしての役割を果たす。』とあります。
たしかに広くて、今回も他に「日展」(11/2~12/9)と、他の企画展も開催しています。設計は10月12日心不全で亡くなった黒川紀章氏(73)で、オープンは今年2007.1.21(2006.6.24竣工)です。(1.21-3.19には黒川紀章展も開催) ということで、次回は正門側入口まで行けるかな?!
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by ttru_yama | 2007-12-09 00:01 | ギャラリー

071110 関宿の町並み-2

f0005116_943176.jpg関宿の続きです。三重県亀山市関の宿場町・関は古代三関の一つ、鈴鹿の関が置かれた所だといいます。現在の関宿は国道1号線脇に延びた、旧東海道47番目の宿場町で東西約1.8kmの細長いエリアです。中央部には昔風の店構えにした百五銀行などが有りますが、観光用の無料駐車場がやや西寄りにあるので、観光の中心的には西部に偏ってしまいます。

f0005116_10144330.jpgさて駐車場から街道に入ってすぐ目に入るのが地蔵院の愛染堂で、ここには絵筆を握って画帳に街道を描く人達が多く見られます。そうした絵は公募で投稿され、近くのギャラリーで一般公開されています。(次回絵の展示を紹介するつもりです)




f0005116_1028647.jpgその地蔵院と街道を隔てて建っているのが、元旅籠(はたご=宿)だった会津屋さんです。現在は山菜おこわや街道そばを出す食事処となっており、店先には柿の籠もりも出されていました。
ところでここの看板は、江戸方面に向かって見ると漢字(写真参照)で書かれており、逆側にはひらがなで「あいづや」となっています。


f0005116_10502661.jpgつまり旅人に方向を知らせる意味での書き分けで、私の独断では、『江戸の方が固そうなイメージの「漢字」で、京の方がやわらかい感じのする「ひらがな」なのかなぁ』と、思ったことです。でもそんな事は、昔の旅人の常識だったのでしょうね。
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by ttru_yama | 2007-12-01 10:42 | お出かけ