さて南吉生誕100年ですが、世の中はどんどん進んで、南吉の中学時代の友人・久米常民先生の手紙の発見や、安城の南吉の下宿先の復元公開等があいついでニュースとなっています。
(これも、その内になんとか記事に・・ね) (笑)
ところで写真は「
南吉生誕100年-17」以来、話に登場している「カガシヤ」の店舗写真ですが、ようやくここに載せることができました。
(「南吉のふるさと」/昭和60年7月・半田市立博物館発行)より
ということで、このカガシヤ写真は、昭和60(1985)年頃の様子となります。(現在この付近は更地で再整備中です)
もうひとつ半田の町の歴史を綴った、「半田の轍 八十年の変遷」(平成20年・片山市三氏発行/絶版)という素晴らしい本を紹介します。
タイトル通り、半田の歴史風俗、主要な建物や町の変遷を綴った労作で、 「
南吉生誕100年-19」での愛知銀行の場所にあった建物の変遷も、こちらの記事をレファレンスしてもらったものです。
この本には「カガシヤ」の記述も載っており、南吉や歌手・尾崎豊との関係にもふれたりしています。
そして、こちらは何度も出てくる「カガシヤ」店内の写真ですが、片山さんによればこのカウンターの様子は、ほとんど変わっておらず、中央の(おそらくコーヒーを抽出する)機器は、昔からずっと置かれていたといいます。
同本より、「カガシヤ」の記述を部分的に引用します。
『・・創業 普通の民家でしたが、先々代の女将さんが一念発起し、賑わう銀座通りの中心だからと商売を始めました。(中略) 表でパンを販売しながら、奥では喫茶店を始めました。昭和十年ごろには、かの有名な新美南吉もよくこの店に訪れた常連客であり、初恋の人とのデートの場所であったと言われます。・・』
ということで私も南吉の日記の中で、カガシヤでのデートの話を調べてみましたが、残念ながら見つけられませんでした。(笑) ただ、この店内写真は少なくとも昭和6(1931)年以降だとわかりました。というのは銀座通りの道が拡張されたのがその年だったからです。
ですから南吉の見たカガシヤは、まだ出来てからそんなに経ってない新店舗の、それこそモダンな店だったことでしょう。